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地域医療に医療の原点あり [医療]

地域医療のモデル地区がいくつかある。長野県、沖縄県そして長崎県だろうか。未だその他の県について検証していないので断定は出来ないがおそらく大きく間違ってないはず。長崎県では日本最多の離島を持っているという地勢的背景があったにしても離島医療を支える素晴らしいシステムを構築していることには驚嘆させられる。

長崎県には修学制度があって、県からの支援で医学部に入学する学生への経済的援助を制度化している。当然自治医科大学への派遣の上乗せとしてである。毎年4ないし6名が長崎県下の医療を支える新しい人材を生むことになる。

さらに素晴らしいのは長崎県離島圏組合を作り、県と市町村が資金を拠出して離島内に基幹病院をそしてそれを核とした診療所を配置している。五島中央病院や対馬いづはら病院では都会並みの規模と医療レベルの治療を行っている。だからごく稀な難治療を除いて直ぐに本島の長崎にヘリ搬送ということになっていない。

長崎大学から医師派遣も受けているが、むしろ組合自体で集めた医師が継続的に離島医療を支えてきている。ここでは初期研修義務化で各地で起きている医師不足とは違った世界が展開している。

その理由は医師養成に県が力を入れているだけではなく、国立病院機構長崎医療センターがいち早く(数十年前から)スーパーローテを導入し、修学生制度で医師の卵となった卒業生ををしっかり離島で医療活動が出来るように教育を施してきた。しかも、彼らは義務年限の間にさらに2度にわたって再研修の機会を与えられ、専門医が取れるよう手厚いサポート体制が確立されているのも大きい。

さらに離島では医療の領域に止まらず健康の根本である保健福祉を含めたヘルスケア全般を統合して活動が行われているのが素晴らしい。医療領域に入る患者予備軍を健康維持の為の活動強化で疾病の手前で予防し、結果的には医療費の増嵩を抑えてきている。日本のどこでもが目指すべき道のりを示している事にビックリした。

さらに長崎大学の離島医療に対する意気込みが大きく前進したことも目を見張る。昨年から五島中央病院内に大学院の離島医療研究の講座がスタートした。離島医療をエビデンスに裏付けられたシステムの構築を目指している。そして長崎大学5回生のポリクリの中で離島医療の現場研修が義務づけられて、その成果が上がっていると聞く。一番の効果は生々しい離島の現場を見ることで座学では得られなかった正しい実態を知り、離島医療に理解を示すようになり、将来の自分の医師活動を離島医療に向けたいという希望者が増えたことだ。多くの地方大学医学部が目指すべき見事な提言が発せられている。

地域(地方)医療を別の世界と分けて考えやすいが、実は医療の本質の全てが凝縮しているのが地域医療だという事が分かる。分かりやすく言えば東京で時間との戦いが迫られた病気が発症したとき、おそら病院の都合でたらい回しされてしまう危険性があるけど、地域(地方)では移動時間の問題はあっても(これも今日では改善されてアクセス時間のバリアはかなり低くなってきている)はあってもたらい回しによるロスは全くないし、ピンポイントで的確な行く先に搬送される。健康管理についても指導が行き届く。地域が患者さんを温かく見守ってくれる可能性も高い。小さな政府と住民が直結しているので施策も建てやすい。地域医療は医療ではなく、社会システム(ネットワーク)作りであることに気付くことが一番だと思う。我々はもう少し地域医療に学び、都市部での医療制度ひいては日本全体の医療制度を考えるときの大きな実験として、見本としてもっともっと学ぶべきではないか。


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コメント 3

しょちょう

はじめまして。僕もへき地の村の診療所で働いていたことがあるので、こういったシステム作りの重要性よくわかります。おっしゃるように医局講座制度の弱体化がへき地医療の問題を深刻化させている現在、各県レベルで自衛の手段を持つべきでしょう。
by しょちょう (2005-07-09 23:50) 

羅針盤

コメント有り難うございます。小生は医師ではありませんが、医療に係わる仕事をしています。Doctor's Magazine をご存知でしょうか。その月刊誌を発行しているメディカル・プリンシプル社の者です。日本の矛盾だらけの医療制度を世に知らしめ、自分たちの医療がどうあるべきか、考えて行ければと思っています。これからも意見交換できたら嬉しいです。
by 羅針盤 (2005-07-13 20:27) 

だんぼーる

五島に住んでおり、医療に携わるものとして感想を書かせて頂きます。

「残念ですが、上辺だけのお為ごかしで実情をご存じない」

システムが如何に素晴らしかろうと、教育制度が充実していようと、制度を利用する人間が素晴らしいとは限らない。

本当の地域医療の姿を書くなら、例え数ヶ月であっても実際に働いてから書くべきである…と思うのは不自然な事でしょうか?
by だんぼーる (2006-08-23 16:22) 

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